ポンコツ失敗談 〜バフとかんざし〜 独立して間もない頃、師匠のもとへ通っていた時に、忘れられない言葉をいただきました。 「しっかり叩いて作ったものは、たとえ曲がったとしても美しく曲がる。」 当時の私は、この言葉の意味を深くは理解できずにいました。 それからしばらく経ったある日。...
【独立初期のポンコツ失敗談】ローラーと油の話 独立して間もないころ、私は「ローラー」の存在すら知らず、銀を必要な厚みにするために、ひたすら金槌で叩き、ノギスで測りながら製作していました。いま思えば、なんとも非効率で、よくやっていたなと自分でも驚きます。 そんな私の前に現れたのが、金属を均一に延ばすことができる「ローラー」。...
Instagram @takuyaiba_kazari この度、Instagramの「メッセージリクエスト」機能に長らく気づかず、 いただいたお問い合わせの返信が出来ていなかったことが分かりました。 現在はすぐに確認できるように設定を整えております。 もしこれまでにお返事が届いていない方がいらっしゃいましたら、どうかご容赦くださいませ。...
制作に没頭していると、つい時間を忘れてしまいます。 気づけば昼ご飯を食べずに、何時間も手を動かしていた……なんて日もしばしば。 だからこそ、ひと息つく時間は、とても大切にしています。 最近のお気に入りは、朝一番の朝日が工房に差し込む瞬間。 静けさの中に差し込む光に照らされて、道具や素材たちが静かに輝くその景色に、心がすっと落ち着きます。...
私はかんざしや帯留めの制作において、あえて扱いの難しい「純銀(SV1000)」を素材として数多く作品を製作しております。 ※構造上難しい場合はSILVER950を使用します。 その理由は、純銀が持つ格式や希少性、そして静かに輝く美しさが、作品に特別な品格を与えてくれるからです。...
銀という素材の魅力 銀は、ただの金属ではありません。 時を重ねるごとに表情を変え、使うほどに深みを増していく―― そんな、生きているような素材です。 新品の銀は、清らかで凛とした輝き。 けれど、それはほんの入口。空気や手のぬくもりとふれあう中で、 少しずつやわらかな光沢へと変わり、 “その人だけの銀”へと育っていきます。...
海外の銀食器が美しく輝く理由 前回は「銀が黒くなる理由」についてお話ししましたが、 実は、海外では銀がとても美しく保たれていることも多いんです。 今回はその秘密を、少しのぞいてみましょう―― 海外の銀食器が映画やドラマで見るようにキラキラと美しいのは、 長年培われてきた「銀を磨く文化」と丁寧なお手入れの習慣があるからです。...
銀のアクセサリーやかんざしが、時間とともに少しずつ色を変える―― そんな変化を見て「劣化かな?」と感じたことはありませんか? 実は、それは銀ならではの自然な変化であり、丁寧に向き合えば、 美しい風合いとして楽しむこともできるんです。 【なぜ銀は変色するのか】 銀の変色の主な原因は、空気中に含まれる硫黄成分との反応です。...
「道具一式」 作品づくりの傍らには、いつも多くの道具があります。 ヤスリ、ヘラ、キサゲ、ヤットコ、ピンセット、そしてルーペ――。 それぞれの道具が異なる役割をもち、手に馴染むまでに時を重ねてきました。 繊細な造形や滑らかな仕上げには、こうした道具たちの助けが欠かせません。...
今月のおすすめかんざし「月下美人」 夏の夜、一晩だけひっそりと咲く「月下美人」。 その儚くも気高い美しさを、銀の輝きに託してかんざしに仕立てました。 繊細な花びらの重なりや、柔らかに揺れる姿は、 ひとつひとつ手作業で形づくり、一夜の奇跡を永遠のかたちに。 和装にはもちろん、特別な日のお洒落にも―― 静かな存在感が、そっと寄り添う一品です。