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帯留めの歴史

 

今回はいつもと違って、帯留めの歴史について書いてみようと思います。

普段は作品のご紹介が中心ですが、今日は少し視点を変えて、「帯留め」という和装小物がどのように生まれ、変化してきたのか、その歴史をたどってみたいと思います。

 

 

 

華やかな装飾として親しまれている帯留めも、はじまりは意外と実用的な道具でした。
江戸時代の後期から、芸者衆の“粋なアレンジ”を経て、時代の移り変わりとともに「装身具」として発展してきた背景には、職人たちの技と文化の交差がありました。

 

 

 

帯留めの奥深い歴史を知ることで、今の作品にもまた違った魅力を感じていただけたら嬉しいです。

※帯留めの歴史には諸説ありますので、あくまで一説としてお楽しみください。

 


◆帯留めの歴史 -きものに添える小さなジュエリーの始まり-◆

 

帯留めの歴史は、江戸時代後期の文化・文政年間(1804〜1829年)に始まりました。
当時は「胴締(どうじめ)」「上締(うわじめ)」とも呼ばれ、紐で結ぶタイプ(のちの帯締め)と、金具で留めるタイプ(のちの帯留め)が併存していました。

もともとは帯がほどけるのを防ぐための実用品でしたが、時代とともに装飾性が加わり、進化していきます。

 

 

◆ 幕末(1860年代頃)
芸者たちが、男性用の刀装具(小柄や目貫)や煙草入れを粋にアレンジして帯留めとして使いはじめ、次第に一般の女性たちにも広まりました。

 

 

 

◆ 明治時代

1876年の廃刀令により刀装具職人が仕事を失い、その高度な技術が帯留めづくりに転用され、多様で美しいデザインが生まれるようになります。
金属に加え、ガラス・宝石・翡翠・象牙など、さまざまな素材が使われるようになりました。

 

 

 

◆ 明治後期〜大正時代(1890年代以降)

帯締めの中央に装飾を通す、現代的な帯留めの形が定着し、「帯を留める道具」から「装いのアクセント」としての役割へ。

日常の装いを彩る、小さなジュエリーへと発展します。

 

 

 

 

 

帯留めは、実用品から装身具へと変化した、日本ならではの美意識が詰まったアクセサリー。
今では、きものコーディネートの中で個性や季節感を表す大切なアイテムとして、多くの方に楽しまれています。

 

 

 

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